コラム
2024年7月22日
酷暑によって明らかになるもの
あっっつい。暑い。何度も言って申し訳ないしみんな知っていることだとは思うんですが、暑い。言っても詮ないことだとは分かっていますが、昔はここまで暑くなかった・・・夏休みに子どもが外で遊べる程度の暑さだった・・・なのに今は毎日熱中症警戒アラートが出て、外にちょっと出るだけで体調に影響があるのではないかと感じる暑さです。
ここ数年の暑さでいつも話題に上がるのが、部活動の過酷さです。本来はあくまでも学業の一環として体力増進のために行われていたであろう部活動が、いつしかそれ自体が危険なものになってしまっています。私自身にもその世代の子どもがいるため、人ごとではありません。もちろん、先生方が暑さへの対策と練習との兼ね合いに悩まれ、安全管理に心を砕いておられることは承知しています。それを上回る暑さになっていることなのだろうとも思います。
こちらは近畿圏ですので、もうすぐ甲子園で盛り上がります。NHKだけでなくABC(テレビ朝日系列)でも甲子園の様子が放送されるので、アニメやら特撮やらが別の日時に変更されるというのも夏のあるあるです。テレビのニュースで、熱中症警戒アラートが出ています、屋外での運動は危険です、と言ったそのすぐ後に甲子園の中継が始まり、暑さの中で汗を流して野球に打ち込むことを美談にし消費するという、このいびつさ。今は試合時間をずらそうという対応などがなされたりしていますが、あくまでも「甲子園球場」という場所にはこだわるのだなあと感じます。ドームでええやん。
私がカウンセリングの拠り所にしている分野である交流分析では、「ディスカウント」という概念があります。これは、「今、ここ」での判断に必要な情報を無視している状態のことです。必要な情報を無視、値引き(ディスカウント)することは、往々にして不都合を引き起こしますが、事故などの要因にもなります。「大丈夫だろう」と大切な情報を無視したり過小評価することで事故が起こり、場合によっては取り返しのつかないことになる。そういった事件や事故には多くの方が心当たりがあるのではないでしょうか。
ディスカウントの背景には、過小評価しているものとは別に、過大評価しているものもあります。甲子園の様子を見ていると、プロでもやらないようなこの暑さの中での試合を高校生にさせ、それを感動的に全国に放送している大人たちは、一体何を過小評価し、何を過大評価しているのだろうかと考えます。何よりも大切なのは子どもの健康だろうと思うのですが、そうは評価せず、それ以外の何かをもっと重要に評価している人がいるのかもしれません。
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