コラム
2024年7月1日
ゆく河の流れは絶えずして
相変わらずの梅雨空ですが、暑い日も増えてきました。当カウンセリングルームの近くには住吉川という川が流れていて、適度に浅く水もきれいなため、暑い時期になると子どもたちが水遊びに興じる姿を見ることができます。鷺が魚を食べに来ていることもしばしば。
私は山と海に挟まれて川の流れる場所で生まれ育ったせいか、住まいなどを選ぶときには近くに水が流れているところがいいと感じているところがあります。現にこのカウンセリングルームも海と山に挟まれ、近くに川が流れている場所にあります。
川の流れや寄せては返す波を見ていると、今自分が悩んでいることも一緒に流れて行ったり遠くの海にさらわれていくように感じて、なんだかホッとするのです。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし
世の中にある人と栖(すみか)と、又かくのごとし」
と鴨長明の方丈記には記されていますが、常に変化し続ける河の流れに人の一生を当てはめて感じ考えるのは何百年も前も今も一緒なのだと感じます。
この世は諸行無常。常に同じでいられるものなどない。そして同時に、人もいつでも変わることができる。昨日の自分と今日の自分は連続しているけれど、同じである必要もない。変わりたいと思えば昨日と違うことをしてもいいし、そうでなければしなくてもいい。河の流れが自由にその形を変えながら海に流れ込むように、私たちももっと自由で、思うままに生きていいのではないかと思うのです。もちろん公共の福祉の範囲内で。
流れる水にはそう思わせるパワーがあるような気がして、私はいつもそれがある場所に根をはりたいと思うのです。ここを訪れる人にもそう感じてもらいたくて、私はこの場所を選んだのかも知れません。人はいつでも変わることができて、あなたにもその力があるのだと。
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