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コラム

2024年6月10日

あの石碑のあの言葉には主語がない

 先日、映画「関心領域」を見てきました。平日早朝の映画館は人が少なく、スクリーン内に入っても人はまばら、12~3人程度しかいない静かな中での映画鑑賞が好きです。

 「関心領域」は第二次世界大戦下における、アウシュビッツ強制収容所の隣に住む、収容所所長家族の日々の様子を淡々と映す映画です。収容所の中の直接的な描写はありませんが、時折聞こえる悲鳴、焼却炉の炎で煌々と照らされる夜空、絶えず煙突から吐き出される煙、所長家族が身にまとう衣服、それらから、中の悲惨な様子がうかがえます。収容所の所長も、その家族も、収容所の存在に疑問は抱かない。そして同時に、彼らは家族を愛し、庭を緑で埋め、その家は子どもたちのためにいい環境であると、信じて疑わないのです。そのような家族を映すことで、残虐な行為をする者がただ残虐なだけの人間ではないこと、戦争という非日常が日常になっていること、その恐ろしさが浮かび上がります。

 私にとって、この作品は別の側面がありました。映像に映される、現在のアウシュビッツ。かつての収容所をそのまま残し、博物館として展示されています。これが私には本当に辛かった。なぜかというと、日本にある施設を連想したからです。広島にある原爆資料館。戦争被害を展示しているという意味では同様の施設です。

 私は広島出身なので、小学生の頃などは平和教育を受けてきました。夏休み中の8月6日は登校日で、小学4年生で原爆資料館に校外学習に行きます。原爆資料館は暗く、ひんやりとしていて、あの空気、ひしゃげた黒焦げの弁当箱や地面に焼き付いた影は今でも鮮明に覚えています。

 ただ、アウシュビッツの博物館の映像を見た時に、これは「加害の展示」でもあるのだ、と感じたのです。私たちは、果たして、どれだけ自分たちの加害性に向き合って来れていただろうか。原爆資料館も、凄惨な核による被害を展示している、とても貴重な施設であると思っていますが、この「加害の展示」は、とても私の心を打ちのめしてしまった。加害の歴史は、まさに私たちにとって、「関心領域の外」ではなかったか。

 私は、原爆を落とされた国の人間として、同時に、国が国民にしたこと、戦争と侵略の中で彼の地でしたこと、それらについてもっと知りたい、知らなければならないと感じます。広島の石碑に刻まれている「過ちはくりかえしませんから」の主語となるために、それは必要なことだと思います。それがどれだけ苦しく、目を背けたいようなものだとしても。

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